中部電力(株)の「浜岡原子力発電所」見学会および研究成果や開発品など展示の「テクノフェア2025」に参加しました!
2025年10月10日(金)の中部電力(株)の浜岡原子力発電所見学会および10月30日(木)の中部電力(株)の研究成果や開発品など展示のテクノフェア2025(イノベーションのタネ)に、朴 恵淑三重大学地域イノベーション学研究科客員教授・名誉教授/三重グリーン購入ネットワーク(三重GPN)代表幹事(会長)と安部大樹三重大学人文学部特任助教/三重グリーン購入ネットワーク(三重GPN)事務局メンバーが参加しました。
浜岡原子力発電所見学会では、原子力発電の仕組み、発電所運転に関わる基本設備、南海トラフによる巨大地震に備える津波対策施設(改良盛土、防波壁など)、原子力研修センターでは失敗に学ぶ回廊などを見学しました。
日本は、2021年に、エネルギー政策の基本的な方向性を示す「第6次エネルギー基本計画」を策定し、エネルギー資源に乏しい日本は、安全性(Safety)を大前提に、環境保全(Environment)・安定供給(Energy Security)・経済性(Economic Efficiency)を同時に達成する「S + 3E」を基本方針に、エネルギー政策を進めています。日本は、「S + 3E」の達成のために、各エネルギーごとの強みを発揮し、弱みを補完するバランスの取れた「エネルギーミックス」の実現を目指しています。2030年までに、国の目指す電源構成は、石炭・石油発電21%程度・天然ガス発電20%程度、原子力発電20-22%程度、再生可能エネルギー発電36-38%程度、水素・アンモニア発電1%程度を目指しています。原子力発電は、ウランの核分裂による熱を利用して、水を沸かし、その蒸気の力でタービンを回転させることで、電気をつくります。
中部電力(株)は、電力の安定供給を目的に高度経済成長期の電力需要増大などに対応する研究開発を行なっており、電力品質の向上に加え、2000年の電力小売り自由化に伴い、省エネや電化などの研究開発を進めています。現在では、新たな価値の創出(CSV)を目的として、2022年に「7つの重点分野」を設定し、脱炭素社会の実現及び客の快適性や利便性に対するニーズを先行する技術研究開発を加速しています。
「中部電力浜岡原子力発電所」見学会は、2011年の東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故の経験を活かした、浜岡原子力発電所における安全対策、南海トラフ巨大地震への対策などについて説明を受け、浜岡原子力発電所の内外の設備一部の見学を行いました。
(1) 地震に備える
耐震裕度向上工事、配管・電路類のサポート工事、地盤の強度改良工事、軽油タンクの地下化(火災・竜巻対策)
(2) 津波に備える
防波壁/敷地東西盛土、津波対策(強化扉・水密扉)、取水槽から敷地内への海水流入を防止する壁
(3) 冷却機能の確保
「電源設備」緊急時ガスタービン発電機、電源車
「注水機能」ポンプ車、緊急時淡水貯槽
「除熱機能」緊急時海水取水設備
(4) 格納容器の破損を防ぐ
原子炉ウェル注水系、格納容器下部注水系、フィルタベント設備
(5) 原子炉建屋の破損を防ぐ
原子炉建屋ベント、放水砲
地球温暖化に伴う気候危機によるエネルギー危機の顕在化が懸念されることから化石燃料からの脱却が必要不可欠となり、2030年の国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成、2050年の脱炭素(カーボンニュートラル)社会創生に向けて、日本や世界各国の叡智を集め、世界が一丸となって取り組むことが求められています。私たちの日常生活はもちろんのこと、非常時において必要不可欠なエネルギーの安定供給、生活の知恵を活かしたエネルギー使用の工夫など、多くのことを学ぶことのできた大変有意義な見学会でした。
中部電力(株)の技術開発本部を会場とする「中部電力テクノフェア2025」は、イノベーションのタネをメインテーマに掲げ、DXや最新の再エネ技術など幅広い分野の約80の研究テーマを展示するイベントであります。
「中部電力(株)の技術研究開発の重点7分野」の主な取り組みは、再生可能エネルギーの拡大、水素・アンモニアサプライチェーンの構築などの重点7分野の技術研究開発をグループ会社とも連携し、推進することとなり、具体的には取り組みは次のようになります。
①再生可能エネルギーの拡大(低コスト浮体式海洋風力の技術開発)
②水素・アンモニアサプライチェーンの構築(カーボンフリー水素製造技術の研究)
③原子力発電の最大限の活用(さらなる安全性向上に向けた研究)
④エネルギープラットフォームによる価値提供(グリッド試験設備の構築・検証)
⑤データプラットフォームによる価値提供(IoTセンサなどによるデータ収集、ビッグデータ解析)
⑥お客様との接点拡大・価値提供(電化、加熱燃焼の代替技術の導入)
⑦資源循環事業の展開(資源の地域循環、希少材料のリサイクル技術開発
特に、水素・アンモニアのサプライチェーン構築エリアにおいて、脱炭素社会実現に向けた水素・アンモニア研究、既存の火力発電所における水素・アンモニア混燃技術、アンモニアクラッキング技術への取り組み、燃焼実験棟でのアンモニア燃焼に関わる技術開発の取り組み、エネルギー・環境実験等での産業分野での水素専焼燃焼器、水素社会実現を支える材料評価技術施設を重点的に見学しました。
(株)JERAの火力発電所のエネルギー効率が、世界のトップランナーであることは知っているものの、脱炭素社会実現に向けた水素・アンモニア研究の先端的技術を見学することができました。地球温暖化による気候危機およびエネルギー危機への対策として、全世界のすべての国が取り組むべく、脱炭素社会(カーボンニュートラル)創生に向けて、2015年12月の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定(Paris Agreement)」の採択以来、二酸化炭素をはじめ温室効果ガスの排出ゼロに向けて、水素・アンモニアとの混合による温室効果ガスの削減に取り組む中部電力(株)の取り組みについて、多くのことを学ぶことができた大変有意義な見学会となりました。
「三重GPN」は、環境・SDGs・持続可能な循環型社会(サーキュラーエコノミー)および脱炭素(カーボンニュートラル)社会創生のための研修会や講演会などを開催するのと同時に、気候危機とエネルギー危機への賢明な対応について、中部電力(株)をはじめ、産官学民との緊密な連携によるエネルギー関連施設への見学会の実施など、持続可能な三重社会創生のプラットフォームとしての役割を充実に果たします。


