『土木学会D & I(ダイバーシティ&インクルージョン)カフェトーク 「環境地理学者が語る持続可能な社会創生とD & I」』を行いました!
2025年3月7日(金)の午後5時から約1時間、『日本土木学会D & I カフェトーク第73回「環境地理学者が語る持続可能な社会創生とD & I」』を、朴 恵淑三重大学地域イノベーション学研究科客員教授/「三重GPN」代表幹事と平永佐知子土木学会員との楽しいトークを行いました。
最初に、朴 恵淑地域イノベーション学研究科客員教授/「三重GPN」代表幹事は、環境地理学について、地理学は覚える学問ではなく、理解する学問であり、人文社会科学と自然科学との文理融合学問であることを話しました。特に、ライフワークである、四日市公害から学ぶ「四日市学」を創設し、過去の四日市公害(ぜんそく)の経験を活かし、今を生きる術を考え、未来の環境と経済・社会の調和の取れた、持続可能な社会・循環型社会(サーキュラーエコノミー)・脱炭素社会(カーボンニュートラル)創生に役立つ学問であることを強調しました。
また、WHOアジア太平洋環境保健センターの初代所長として、アジア・太平洋の28ヵ国を束ね、環境と衛生問題の解決に関わっていることを述べました。地球温暖化によって、年間約25万人の死者が予想されている一方で、大気汚染によって、年間約700万人の死者が予想されることから、四日市公害の教訓を活かし、国際環境改善に貢献することが求められていることを強調しました。また、世界の約82億の人口のうち、約1/4に当たる約22億人が安全な水に到達できない、約半分に当たる約42億人が安全なトイレを利用できないことから、感染症の多発、女性や子供達への強制労働や性犯罪などの警告が出されていることを指摘しました。
続いて、国立大学初の外国人理事・副学長として就任されてからの実績となる、環境・国際交流・男女共同参画について語りました。
まず、環境担当理事・副学長として、「世界一の環境先進三重大学」を掲げ、身近な環境問題への取り組みとして、三重大学の生協およびコンビニでの日本初となるレジ袋ゼロに成功した事例について話しました。そのノウハウを活かし、三重県の全29市町において、レジ袋有料化によるレジ袋ゼロ運動を2007年9月からはじめ、2012年4月に、三重県全域でのレジ袋ゼロ運動の成功についてアピールしました。また、三重大学内の太陽光発電および風力発電施設の導入に伴う、創エネ・蓄エネ・省エネによる「スマートキャンパス」の成功について述べました。
また、国際交流担当の理事・副学長として、三重大学の留学生および三重県の外国人と三重大学生と大学院生との連携を図るプラットフォームを構築・運営による、身近な国際交流の成功事例について語りました。三重大学だけでなく、三重県・三重県日中友好協会など、身近な生活の基となる地域での産官学民との緊密な連携による国際交流に伴う、グローバルとローカルを繋ぐグローカル国際交流活動およびグローカル人材育成について強調しました。
さらに、男女共同参画担当の理事・副学長として、ダイバーシティ・インクルジョンセンターを開設し、ダイバーシティの基本は、1+1が単なる2で終わるのではなく、100とも1000ともなる強みを活かし、他人と違うことを排除する、差別するのではなく、むしろ、受け入れる、仲間に入れることによるスケールメリットを活かすことが最も重要であることを強調しました。
続いて、環境地理学者として世界の90ヵ国以上を回り、陸だけでなく、スキューバダイバーとして海に潜って、海の環境についても調査していることに言及しました。環境地理学者は、フィールド(現場)を直接調査する現場主義者であることから、世界を飛び回り、綺麗な海ばかりでなく、海洋汚染の深刻な海にも潜り、陸と海での環境汚染から地球を守る術を探っていることを述べました。
最後に、土木学会への期待として、女性会員の割合が少ないので、次世代を担う理系女子の育成はもちろんのこと、意思決定の場に女性委員の登用、外国人との共生を積極的に図ることで、日本土木学会は、男女共同参画、D & I(多様性を受け入れる)のトップランナーとなることに大きな期待を寄せていることを述べました。
今回の「土木学会D & I (ダイバーシティ&インクルージョン)カフェトーク」は、30分の動画にまとめ、土木学会のアーカイブとして保存され、会員はもちろんのこと、誰でも視聴できるので、是非ともご覧いただき、さらなる発展的展開のためのアドバイスをお願い申し上げます。