「網で日本の漁業をサポート」を経営理念とする「タケムラ有限会社」の見学会および懇談会を行いました!
2024年6月14日に、「網で日本の漁業をサポート」を経営理念とする、三重県北牟婁郡紀北町の「タケムラ有限会社」の見学会および懇談会を行いました。
見学会および懇談会は、「タケムラ有限会社」の武村正宏代表取締役、武村知哉取締役と(株)三重TLO松井 純取締役事業推進部長、河野 央三重大学産学連携コーデイネーター、朴 恵淑三重大学地域イノベーション学研究科客員教授で「三重グリーン購入ネットワーク(三重GPN)」代表幹事(会長)、安部大樹三重大学人文学部特任助教で「三重GPN」事務局メンバー、小西 凌三重大学地域イノベーション学研究科博士課程生で「三重GPN」事務局メンバーが参加しました。
「タケムラ有限会社」は、「網で日本の漁業をサポート」を経営理念として掲げ、平成6年の会社設立以来、定置網、刺し網、旋網などの新規調製やメンテナンスによって狩猟型漁業をサポートしていましたが、いち早く養殖生簀網にも着手し、養殖生簀網の新規調製・メンテナンスに関する技術・ノウハウ・経験を蓄積することによって、養殖業の発展と共に成長してきました。養殖業は、クロマグロの養殖を中心に成長を続けており、養殖用の稚魚を含むクロマグロの漁獲量の削減という逆風もありますが、近大がクロマグロの完全養殖に成功するという追い風もあり、日本だけでなく海外でもクロマグロの消費量は増大していることから、完全養殖の普及を追い風として、養殖業の成長を牽引しています。「タケムラ有限会社」は、漁網の最新技術にキャッチアップしながら、将来的には漁網の最新技術を作り出すことによって、今まで以上に漁業を強力にサポートできるよう発展的展開を図っています。
「タケムラ有限会社」は、漁網の新規仕立て・メンテナンスと水産用帆布製品の加工を主力事業としています。漁業は、漁に出る狩猟型から、生簀にて養殖する飼育栽培型が主流になる漁業の変化に伴い、網も狩猟型の漁業で使う定置網、刺し網、旋網から養殖生簀網へと変化しています。養殖漁業は成長産業なので、養殖生簀網も進化していることから、「タケムラ有限会社」は、長年培った経験とノウハウで、設計段階から『使いやすく丈夫な漁網』を提案しています。漁網(Fishing Net)事業部では、定置網、養殖生簀網、刺し網など各種漁網及び陸上ネットの仕立て加工・修理・販売を行っており、特に、定置網については、2~3人で網おこしのできる簡易型中層網が好評を得ています。大型漁網の網染め作業は、従来より大変な重労働であったが、「タケムラ有限会社」の加工場では、大型定置網をはじめ大型生簀網、釣堀仕切り網などすべてに対応できる大型容器による完全漬け込み式を採用することで、染めむらがなく、使用液も少量で済む仕組みを実行しています。網が汚れないことによる効果として、入網期間の増加による漁獲量の向上、網の入れ替え回数の減少による人件費の削減、重労働からの解放などが期待できます。
漁網のライフサイクルを考える「タケムラワンストップサービス(Takemura One Stop Service(TOSS)は、次のように考えられます。
1. 設計・調達・防汚加工
漁網を設計し、必要な材料網を調達し、社内のサイト(加工場)において漁網に仕立て、防汚液で染め加工(防汚加工)します。防汚加工することにより、貝や海藻が付着しにくくなり、漁網のライフサイクルが長期化します。
2. 納品・洗浄・補修
完成した漁網は納品され、漁業や養殖に使用されます。防汚加工してあっても貝や海藻が付着し、摩耗・破損も生じるので、網の用途や使用頻度に応じた周期で海から上げて網を洗浄して付着物を落とし、破損などを補修して、再び防汚加工して海に戻します。
3. 保管
補修した漁網はメンテナンスの完了後、発注者に最適なタイミングでお渡しできるよう、漁網の保管サービスも提供しています。
4. 廃棄・再利用
漁網もいつかはライフサイクルを終えますが、現在は産業廃棄物として処分しています。今後は、網から落とした付着物をミネラルリッチな肥料として、また、洗浄・補修を終えた網を陸上ネットなどとして再利用して、環境負荷低減に取り組みます。
特に、「タケムラ有限会社」の見学会および懇談会において、次の2点について話され、継続して、見学会と懇談会を開催することが話されました。
(1) 漁網のライフサイクルのトップランナー
漁網の新規制作から使用、防汚加工、洗浄、修理などのサイクルを通じた、漁網の耐用年数となる12−15年後のリサイクル、廃棄について、循環型社会(サーキュラーエコノミー)のトップランナーとなる「タケムラモデル」について意見交換を行いました。漁網は、サイズが大きい(80m x 50mなど)だけでなく、強度が強いことから、一般的破砕機では切断が極めて難しく、なおかつ機械が壊れやすいことから産廃の中で処理困難物として扱われていることが話されました
「タケムラ有限会社」は、多方面での調査の末、破砕機およびペレット加工機の導入により、漁網のリサイクルに成功しています。さらに、従来の3R(Reduce, Reuse, Recycle)に止まるのではなく、Renewable(再生可能)まで広げ、3R+Rのサーキュラーエコノミーの成功事例の構築・運営に成功している、21世紀型循環型(サーキュラーエコノミー)社会創生のトップランナーであると確信しました。
「三重グリーン購入ネットワーク(三重GPN)」は、是非とも「タケムラ有限会社」が「三重GPN」の会員となっていただき、時代を先取る会社として、内外へ大きくアピールすることによって、「漁網のライフサイクルのタケムラモデル」のさらなる発展的展開に大きく期待できると確信しています。
(2) 地域住民との協働・共生
東紀州地域は、働く場が少ないので若者が都市部に流出して人口が減少し、産業が衰退するという悪循環に陥っています。日本の漁業と東紀州地域の発展に寄与できる、成長し続ける「タケムラ有限会社」の取組に対する説明責任を図り、従業員と共に成長し、地場産業の成功事例となるために、地域住民とのコミュニケーションを図る必要があります。
「タケムラ有限会社」は、2024年11月に創設30周年となります。さらなる発展的展開を図るためのターニングポイントとなることから、三重大学、(株)三重TLO、三重グリーン購入ネットワーク(三重GPN)との継続した見学会および懇談会によるコミュニケーションの充実化を積極的に行います。
(1)「タケムラ有限会社」武村正宏代表取締役と漁網の修繕(修繕前の漁網の穴)
(2)「タケムラ有限会社」の漁網の修繕(漁網事業部)
(3)漁網(2−3年使用後)
(4)漁網の洗浄・修理行程
(5)「タケムラ有限会社」の漁網の3R+R(サーキュラーエコノミー)施設(漁網の破砕機・ペレット加工機)
(6)「タケムラ有限会社」の漁網の3R+R(サーキュラーエコノミー)施設(廃棄物の漁網からペレットへ加工)